【竹内樹生選手】けがの心配は?指導者が持っておきたい将来性を見据えた考え方

子ども

日本ハムJrの竹内樹生選手がノーヒットノーランを達成

2022年12月27日に開催された「NPB12球団ジュニアトーナメント2022」

日本ハムJrの竹内樹生(たけうち・たつき)選手がノーヒットノーランを達成しました。

驚くのは小学6年生ながらにして球速は最速130km/hをマークしたということです。

小学生にしてこの実力、しかも左投げ。

逸材だと記事で取り上げられていますが、同時に怪我を心配する声も見られました。

今回は「竹内選手が怪我をする可能性」や「将来性を見たときに指導者が心がけたい内容」についてまとめました。

けがの心配はないのか

怪我をする可能性は大いにある

結論から言うと、怪我をする可能性は大きいと考えられます。

アメリカのABF(全米野球協会)が定めた「少年野球選手の障害リスクのガイドライン」によると、12歳で104km/h以上の速球を投げている場合は、故障リスクが高まるとされているようです。

竹内選手は13歳とはいえ、球速は最速130km/h。

大幅にオーバーしており、故障リスクが高い水準にあることには間違いなさそうです。

身体の大きさは関係ない

現在竹内選手は身長178m、体重75kgと大人顔負けの身体を持っています。

これだけの身体があれば130km/hの速球を投げても耐えられるような気もしますが、問題は体の大きさではなく成長期であるかどうかということです。

ポイントは骨端線が閉じているかどうか

骨端線というのは成長によって骨を伸ばす軟骨部分のことです。

大人になるとこの骨端線という軟骨部分がなくなり、一本の骨になります。

成長期であればまだ骨端線がある(骨が柔らかい)ため、強い負荷がかかれば怪我に繋がりやすくなります。

そのため、成長期であれば強い負荷がかかることによる怪我の可能性はそれだけ高くなります。

竹内選手はまだ身長も伸びていると記事にあったので、成長期真っ只中であり、骨も柔らかい状態であると考えられるため、速球を投げることによる負荷で怪我をする可能性は高いと言えるでしょう。

成長期では筋肉よりも身長をのばすためにエネルギーが消費されるため、身体の強度はまだ強化しにくい段階である上、骨も柔らかい分、負荷も不安定にかかります。

肘の内側にある内側側副靭帯損傷(野球肘)となれば大人になって再発する可能性も高まります。

また、肘の軟骨同士がぶつかることによる「離断性骨軟骨炎」を起こす可能性もあります。

成長が止まればトレーニングで怪我の可能性を低くできる

成長期が終わり、骨端線が閉じる(軟骨と骨がくっついている)と、トレーニングを重ねて負荷に耐えられる身体を作っていく段階になります。

将来性を考えると

投手として本格的に活躍を目指すのは体の成長が落ち着いてからでいい

小学生で130km/hの速球を投げられること、小学6年生のうちに大人並の大きな身体を持っていることは間違いなく才能であると思います。

今小学生でピッチャーとして活躍する可能性は高いと思いますが、将来のことを考えれば、怪我のリスクを鑑みて、本格的に投手として取り組んでいくのは、体の成長が止まってからのほうが望ましいと思います。

ピッチャーとしての出番は少なくする

本人のモチベーションもあると思うので、全くピッチャーはしないというのは難しいとしても、出番を減らすことは必須であると考えられます。

アメリカでは竹内選手のような速球を投げる投手は、現在の活躍よりも将来性を重視して「あえてピッチャーをさせない」という文化になっているのだそうです。

子供の将来をのため、肩肘の怪我の可能性があるこどもは、たとえ活躍することがわかっていてもピッチャーはさせないということなのでしょう。

指導者の配慮が必要

これらの取り組みは、たとえ頭でわかっていたとしても、目の前のプレーに真剣で、活躍したいと思っている子どもにとっては受け入れるのが難しい内容でしょう。

目の前に活躍できる場があればそこで自分のベストを尽くしたいと思うのは必然です。

大事なのはそこで指導者が目先の勝利や活躍を重視して子供の将来を潰す選択をしないことです。

子どもの将来を思えばこその選択を少年野球の指導者は取ることが求められると考えています。

さいごに

今回は竹内選手を取り上げて、怪我の可能性、将来性を考えたときに指導者に大切にしてほしいことについてまとめました。

まとめると

  • 現時点で怪我の可能性は高い
  • 将来性を考えれば、少なくとも今は投手としての活動は少なくする
  • 成長期が過ぎれば投手としての取り組みも視野に入れる
  • そのためには指導者をはじめとする大人の取り組み意識が最重要

ということになります。

今回取り上げた竹内選手が所属するのはプロチームのジュニアチームです。

プロ野球選手も多く排出しているということもあり、他の少年野球の指導者に手本となる起用、育成を見せていただきたいと思います。

これからも、自身が学んだり体験する中で大事だなと思った内容を発信していきます。

今回お話しているケガについての知識、内容は

『新しい少年野球の教科書 科学的コーチングで身につく野球技術』川村卓・著

を主に参考にさせていただきました。

最後まで読んで下さりありがとうございました。

皆さんのこれからがより輝くものになりますように。

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