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【公益通報者保護法】
〇近年、国内外で国民経済の一翼を担う産業(自動車、建設、電機等)の名門企業における不正や不祥事が相次いで発覚し、健全な社会経済の発展や消費者の生命、身体、財産、その他の利益の保護に深刻な影響を及ぼしており、社会的に重要な問題として浮上している。
〇組織に所属してその技術の根幹を把握する技術者にとって、組織のための守秘義務と公益のための説明責任とは本来は両立できる規範である答だが、上述の事例を鑑みると相反する状況に遭遇することを否定できない環境下にある。この際に、技術者が行える倫理的行動の選択肢の1つとして「公益通報」が挙げられる。
〇2004年、公益通報者を保護するために公益通報者保護法が制定された。
〈目的 第一条〉
この法律は、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効等 並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の順守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。
〈特徴〉
〇公益通報者保護法では、公益通報は、公務員を含む労働者が不正の目的でなく労務提供先等について犯罪行為が生じた旨を通報先に通報することと定義されている。
〇公益通報者保護法が保護する公益通報は、不正の目的ではなく、労務提供先等について「通報対象事実」が生じ、又は生じようとする旨を「通報先」に通報することである。
〇公益通報者保護法では、従業員が不正の目的でなく、企業の犯罪行為など違法行為を警察や所轄行政官庁に通報した場合には、その労働者を解雇したり不利益な取扱いをしたりしないことが義務付けられている。すなわち、その基本的な枠組みは「通報対象事実」が発生し又は発生しようとしていることを、従業員が不正の目的でなく通報した(公益通報を行った)場合に、その公益通報を理由に解雇、その他の不利益取扱い(懲戒処分、降格、減給など)をすることを禁止するものである。
〇公益通報には、事業者内部に通報する内部通報と行政機関及び企業外部に通報する外部通報としての内部告発とがある。企業不祥事を告発することは、企業内のガバナンスを引き締め、消費者や社会全体の利益につながる側面を持っているが、同時に、企業の名誉・信用を失う行為として懲戒処分の対象となる側面も持っている。また、消費者や社会全体の利益のために、他人の正当な利益(第三者の個人情報など)や公共の利益を害するようなことは適切ではない。
〇公益通報の対象となる公益通報対象事実とは、個人の生命や身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保などに加え、国民の生命・身体・財産その他の利益の保護に係る法律に規定する犯罪行為などである。
〇公益通報に係る法規、すなわち刑法やその他の関連法規には膨大な犯罪類型が規定されているため、公益通報者保護法にはどのような法律の違反行為が「通報対象事実」になるかを同法の別表に列挙している。
〇公益通報者保護法の大きな特徴は、通報先によって保護されるための要件が異なることである。企業内部に対する通報は、通報対象事実が発生したこと、又は発生しようとしていると思料する場合であれば保護される。また、所轄の行政機関(違反行為に対し処分・勧告等の権限を持つ行政機関)に対する通報は、通報対象事実が生じ、又は生じようとしていると「信じるに足りる相当の理由」を求められる。
〇さらにマスコミなどの報道機関への公益通報には、前項の「信じるに足りる相当の理由」に加えて
- 企業内部や行政機関への通報では解雇その他の不利益取扱いを受けるおそれがあること
- 企業への通報では証拠隠滅のおそれがあること
- 企業に通報後20日以内に調査を行う旨の通知がなされないこと
- 個人の生命又は身体に危害の発生あるいは発生する急迫した危険があると信じるに足りる相当な理由があること
のいずれかの要件を満たす必要がある。
〈公益通報(警笛鳴らし(Whistle Blowing)とも呼ばれる)が許される条件例〉
〇従業員が製品のユーザーや一般大衆に深刻な被害が及ぶと認めた場合には、まず直属の上司にそのことを報告し、自己の道徳的懸念を伝えるべきである。
〇直属の上司が自己の懸念や訴えに対して何ら有効なことを行わなかった場合には、まずは会社内部等に知らせるべきであり、即座に外部に現状を知らせる対応は適切ではない。
〇従業員は、外部に公表することによって必要な変化がもたらされると信じるに足るだけの十分な理由を持たねばならない。成功をおさめる可能性は、個人が負うリスクとその人に振りかかる危険に見合うものでなければならない。
〇内部告発者は、予防原則を重視し、その企業の製品あるいは業務が、一般大衆、又はその製品のユーザーに、深刻で可能性が高い危険を引き起こすと予見される場合には、合理的で公平な第三者に確信させるだけの証拠が必要になる。
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