ミスした時、なんて声をかける?〜「切り替えていこう」という言葉を考える〜

子ども

ミスをした後に

切り替えていこう!

という声掛けはよく聞きますね。

子どもたち同士でも「切り替えて切り替えてー!」「次いこうー次ー!」というような声掛けをする場面は多く見られます。

今回は指導者側の立場に立って、この「切り替えていこう」という言葉が果たして適切なのか考えていきましょう。

そもそも切り替えられる?

切り替えていこうと言われて

「はい!」と返事をしたり、頷いたりしながら、分かったというアクションは返ってきますが、果たしてそれで切り替えられているのかということです。

実際パッと切り替えられている選手は多くないですし、難しいと思います。

当たり前ですが、普通に落ち込みますからね。

その時の1球、ワンプレーの大事さが分かれば分かるほど、落ち込みます。

次のプレーが大事と分かっていても「やってしまった」という気持ちは消えるものではありません。

励ましの言葉として「切り替えていこう」という声掛けはありますが、実際に切り替えるのは難しいということは理解しておきましょう。

大人でも落ち込んですぐ切り替えられないですよね。

好きな人に振られて3秒後には切り替えて行動できますか?

仕事で周りにも影響するようなミスをして、ミス発覚から間も無く「次だ次!」という気持ちに切り替えられますか?という話です。

ちょっと時間が必要ですよね。

もし一瞬でそんな思考になれる人がいたら教えてほしいです。

私も切り替えて行動できる方だと思っていますが、秒では無理です。せめて分か時間は欲しいです

現実的には、落ち込む気持ちは抱えながらも次の行動をしていく。今できる行動を取る。挽回のチャンスがあれば、そのチャンスを掴むために行動する。という感じではないでしょうか。

しかし、野球の試合中で言われる「切り替えていこう!」は、一瞬で綺麗さっぱりミスを忘れることを求める声掛けとして使われている面があると思います。

「切り替えて」の声掛けに変わる正解の声掛けは無い!

では「切り替えて」に変わる言葉はあるのでしょうか。

「大丈夫だよー!」「次集中!」「(ミスしても)いいよ!」「しょうがない」など、色々あると思いますが、実際に大丈夫じゃないのは明らかだったりするし、集中は元々してるし、次の成長へ繋げてほしいから簡単に「いいよ」とか「しょうがない」という表現で間違った理解をしてほしくない。

などたくさんの思いが交錯すると思います

あえて声を掛けないのは、それはそれでどうなんだろうとか、それが良い時もあれば悪い時もあるような感じですね。

私が思うに、「切り替えて」の声掛けに変わる、

これが正解だ!という声掛けや対応は無い!と思います。

ではどのように考えたらいいのか、外せないという部分と私の考えを書いていきます。

外せない要素

子どもの性格

この記事を読んでくださっている方は既にイメージしていたかもしれませんが、

「あの子だったらこうだな」「〇〇君の場合は・・・」とそれぞれの子どもの性格によって関わり方が変わるということが少なからずあると思います。

いいよいいよと言われればまた頑張ろうと思える子

切り替えてと言われればそれで切り替えられる子

悔しかったら次やってみろと煽れば乗ってくる子

具体的にプレーの内容をアドバイスすれば次に気持ちが向かう子

自身で何かしら気持ちを消化するので、特に何も言わない方がいい子

など、学年やできるプレーのレベルなど様々だと思います。

普段の関わり

同じ子に対しても、監督が声を掛けるのとコーチが声を掛ける、保護者や選手が声を掛けるのでは、伝わり方や受け取った側の気持ちは全然変わります。

また、普段からどのような指導を受けているか、振り返りをしているかでその時の対応に深みが出てくるものだと思っています。

ミスしたときの考え方について、あらかじめ話す機会があれば、その瞬間の声掛けが持つ意味も伝わり方も大きく変わるでしょう。

関係性によっては、「切り替えていこう」という声掛けでも、スっとその子に入っていく言葉になることもあります。

ゴールは明確に

「気持ちを切り替えれたらそれでいい」ではなく、「何のために」声掛けをするのかを考えてみましょう。

私が思う何のためは「次のプレーに向かう(挑戦する)気持ちを作る」ために声掛けをするものだと思っています。

最初に切り替えることは難しいと話しましたが、実際に気持ちが整うまで待ってはくれません。次のプレーはすぐに始まります。

そのときに、プレーと向き合う気持ち、次はこうしよう、やってやると挑戦する気持ちができていれば、十分だと私は考えています。

実際これが難しいのですが、「ここの気持ちを作るために、子どもたちと普段からどのようなやり取りをしていくのか、チーム全体として伝えることは何か」を考え、実践していくことが指導者の醍醐味の1つであると思っています。

指導者(大人)が学ぶ

子どもたちに色々教える立場になる大人ですが、なにも上から偉そうにすることが指導ではありません。大人も子どもたちから多くを学び、お互いに成長し合える関係でいることが大切であると私は考えています。

今回のように「明確な答えはない!」という内容に対しても、他の意見や考え方を参考にしながら学び、実践し、子どもたちの反応や成長を見て振り返り学習していくことが、指導者としてのスキルとなり、その時その瞬間で、子ども達にとってプラスに働く行動が取れるようになると思います。

実際にどうするか

気持ちを切り替えるのは難しい。正解という言葉はないが、外せないと思う要素はある。

ということは示しましたが、「とは言っても実際にどうしたらいいのか?」ということについて触れないまま終われば、ここまで読んでくださった方に疑問を投げかけて終わることになってしまいます。

大事だと思う要素を踏まえて、私が考える(現在行っている)対応を示しますので参考にしていただければと思います。

次のプレーに対して具体的な内容を指示

ミスしたことや、反省ではなく、次のプレーで何をするのかについて具体的な内容を伝えます。

これはミスをしたときに「ミスしてしまった」という気持ちが強く、次のプレーに対して気持ちが整理できていない子に対して掛ける言葉になります。このときポイントになるのは

  • チーム全体を巻き込んだ内容を
  • 大雑把ではなく具体的に
  • 「言う」のではなく「伝える」意識

が大切と思っています。

1人に対して声を掛けるだけではなく、チームとして次のプレーに目を向けるよう声を掛けます。誰かがミスしても、次にするプレーは変わらず全員で対処するというイメージです。

具体的な内容を言うのは、より具体的にすることで、そのプレーに意識を向けやすくするためです。

そして怒鳴ったり、言いっぱなしにするのではなく、「伝える」という意識が大事です。伝えるためには、普段の関わりや言い方は重要なので外せない要素としても挙げました。

励ます・応援する・見守る

具体的な内容を伝えるのは、指導者主体のアクションになります。

実際には、具体的な内容や次への行動に対しては、子どもたちが自分たちで立ち向かえるようになればその方がいいと思っています。

何をしたらいいのかわからなくなるというときに、今後の行動のヒントとして「伝える」ことを一つの方法として取り上げましたが、それらが子どもたちでできるようになってきたら、その次に指導者がすることは「励まし」「応援」「見守る」ことであると思っています。

ここで初めて、「切り替えていこう」や「次」などの言葉もありかなと思う段階と思います(私はあまり使いませんが)。大切にしたいのは

  • 必死感を出さない!!(どっしり見守ってあげる)
  • 信頼していることを伝える

ことだと思っています。

これが中々難しいのですが、「切り替えていこう!」「次!」と言うと、個人的にはどうしても必死感が伝わってしまうような気がしてしまいます。言葉の強さというかテンションなのか分かりませんが、見守るという感じではないなと自分の中ではしっくり来ていないため使っていません。

私自身がよく言うのは「頑張れ〜(ゆるく)」「さあ見せ所だな〜。」「乗り越えてこーい。」とかで、あまり真剣味を感じない言葉を投げかけてます。

言葉の内容よりは立ち振舞や声のトーン、雰囲気として、君たちなら大丈夫だと思ってるよ。ということを伝えています。

そして実際に乗り越えてきたらめちゃくちゃ褒めます。めちゃくちゃです!

「嬉しい」「できた」という感情をミスしたときよりも強く強く印象に残してあげようと思っています。

そうすることで、自然と「自分たちで次に向かう気持ちや行動力」がついていくと思っています。

反省は試合後に

ミスの内容や、その後のプレー、どうしたら良かったと思うかについては、試合後できるだけ早い時間に振り返るようにします。

「やってしまった。」という気持ちは中々すぐには消えてくれませんが、いざ時間が経つと不思議なぐらい忘れてしまうものでもあります。時間が解決ってやつですね。

振り返りの中でも意識しているのは

  • 子どもたちの思いを聞き
  • 前向きに
  • 次のチャンスに向かう気持ちを作る

です。

上手く言った時はめちゃくちゃ褒めると言いましたが、そうでないこともあります。

その時子どもたちは自分たちで、「できなかった」「悔しい」というような何らかの気持ちを持っています。

その気持ちや、次どうしたいかを聞かずして、指導者が「こうするんだ!」と決めつけて伝える内容は何もありません

気持ちを吐き出し、それに対してどのようにすればレベルアップに繋がるのか、一緒に話して「次また頑張ろう。」「こうしてみよう。」「この練習をしよう。」というところに落ち着いたら、あとは取り組むのみです。

以上が私自身が実際に取り組んでいる内容になります。

少しでも参考になる部分があればと思います。

さいごに

今回は【切り替えていこう】という言葉について考えました。

指導のほんと枝葉のような部分で、細かいテーマかもしれませんが、それだけ子どもたちにとって、指導者の関わり1つが与える影響は大きなものになります。一つ一つの言動に対して「これはどうかな」と学ぶ気持ちを持てたらいいなと思います。

子どもも大人も、人の数だけ個性があります。誰にでも当てはまる正解のない部分こそ、指導者の腕の見せ所なのだと思います。

これからも私自身が学び感じたことを発信していきます。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

皆さんのこれからがより輝くものになりますように。

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