実際に私が勉強に使用したオリジナルまとめノートを公開しています。
試験勉強の手助けになれば嬉しく思います。
平成25年度試験~令和2年度試験の内容まで反映しております。
赤文字は重要ポイントです。
【リスクコミュニケーション】
〇食品の安全性を確保する手法としてリスクアナリシスが、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)により提示され、その3つの要素であるリスク評価、リスク管理とリスクコミュニケーションを一体として進めるべきである、とされている。
〇リスクアナリシスでは、どのような危害が生じるのか、また、どの程度食べると危害が生じるのかを明らかにする「リスク評価」と、人々の心配の程度や費用と効果の関係、食品がもたらす健康への思恵、社会的な影響などを考慮しながら、リスクを低減する措置を講ずる「リスク管理」そしてリスク評価の妥当性やリスク管理の手法について情報を共有し、各々の立場からの意見を交換し、理解し、協同、協力する「リスクコミュニケーション」の3つが重要とされている。
〇リスクコミュニケーションにおける国の役割は、食品の安全性の確保のため情報を収集、整理し、提供するほか、意見交換の場の設定などがある。また地方公共団体には、地域に固有の具体的な対応もテーマとして取り上げることも求められる。
〇リスクコミュニケーションにおける食品関連事業者の役割は、生産、輸入、流通、販売などの業態を問わず、食を提供する者は顧客の生命や健康に直接関わっているという認識を持って、関係者間の連携とコミュニケーションを図ることである。
〇リスクコミュニケーションにおける消費者の役割は、自らの権利を行使して、食品のリスク評価や管理に適切に参加するために、必要な情報が容易に得られるシステムや意見の表明ができる場と機会を作ることを求め、意見を表明していくことである。
〇リスクコミュニケーションにおける科学者や専門家の役割は、説明責任があるという認識を深めて、積極的に食の安全に関するリスクコミュニケーションに参加し、食品の安全性の確保に関する科学的な情報をわかりやすく提供することである。
〇リスク評価は食品安全委員会(国際的にはFAO・WHO)、リスク管理は農林水産省、厚生労働省(国際的にはコーデックス委員会)が行い、食品の安全性を確保する。
〇リスクコミュニケーションでは、消費者が安心を得るために情報を得るだけでなく、消費者から意見を述べ、要望を伝えるなど、これらの取組に積極的に参加することが大切である。
〈リスクコミュニケーションの推進方策〉
〇文部科学省は、2013年に科学技術・学術審議会から「東日本大震災では、科学技術コミュニティから行政や社会に対し、その専門知を結集した科学的知見が適切に提供されなかったことや、行政や専門家が社会に対して、これまで科学技術の限界や不確実性を踏まえた適時的確な情報を発信できず、リスクに関する社会との対話を進めてこなかったことなどの課題がある。」との指摘を受け、2014年に「リスクコミュニケーションの推進方策」を取りまとめた。この中で、リスクコミュニケーションを推進するに当たっての重要事項(基本的な視座)をいくつか挙げている。
〇リスクの概念は多様であるが、忘れてはならないリスク認知のモデルとして、個人はリスクを「ハザード」と「アウトレージ(怒りや不安、不満、不信など感情的反応をもたらす因子)」の和として捉えるという考え方がある。ハザードが十分小さくてもアウトレージが大きければリスクとして無視できない、というリスク認知を踏まえるならば、一方向の説得ではなく「対話・共考・協働」が重要となる。
〇リスクコミュニケーションを実施する際、多くの場合に発信側(専門家や行政等)と受け手側(一般市民等)との間の情報の非対称性、リスクに係る権限と責任の非対称性、そしてリスクそのものを引き受ける度合いの非対称性の課題が伴う。発信側は多くの情報を持ち、リスク対処の権限・責任を持つ一方で、リスクを引き受けるのは受け手側ということが多い。これらの特性を踏まえ、いかに非対称性に配慮し
、双方向性を担保したコミュニケーションの場に近づけていくのかが重要なポイントとなる。
〇一般に、社会全体のリスクを俯瞰(ふかん)的に把握しようとする行政や専門家の「統治者視点」では統計的・確率論的な見方をするのに対して、リスクに直面する一人一人の「当事者視点」では、危害の確率がいくらであれ個人がその危害を受けるか受けないかの二者択一としてリスクを捉えたり、アウトレージの要素による価値判断に基づいた個別的な見方をしたりする。これらはどちらかが正しいというわけではなし対等に比較できるものでもない。リスクコミュニケーションは、この2つの視点が存在することを前提に取り組まねばならない。
〇ステークホルダ(利害関係者)間での信頼関係の確保はリスクコミュニケーションを成立させる上での前提である。この信頼関係は、対話・共考・協働を互いに積み重ねることによって初めて次第に構築されていくものであるが、その際リスクコミュニケーションの実践を企画・運営する、又は場の進行やまとめを行う機能を担う人材(媒介機能を担う人材)の中立性がとりわけ重要となる。一般に、専門家が媒介機能を担う人材となる場合、専門家には特定のステークホルダの利害によらない、科学的な根拠に基づいた独立性のある発信をすることが求められている。
〇リスク情報の効果的な発信をするには、科学的な正確性を重視して細部の精微な情報発信を心がけるよりも伝えるべきメッセージを整理して明確にし、端的でわかりやすい情報発信を実践することが重要である。この際に発信側(専門家や行政等)で責任を持って十分に検証したリスク情報であれば、受け手側(一般市民等)の検証可能性を確保するために必要な情報公開を行わなくても信頼を得ることができるかもしれないが、基本的に積極的な情報公開が求められている。
まとめノート一覧
まとめノート一覧はこちら
※記事が完成次第、随時追加致します。

コメント