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【倫理思想】
〇私たちは倫理的課題に直面したときに、どのように行動するべきだろうかを考える。そのような場面で、判断や行動のよりどころが明確になっていると、解決策を考えやすく関係者の理解も得やすい。ビジネスや環境問題、あるいは公共福祉に関わる人を含めて、先人はそのよりどころが何かを問い続け、貴重な知を蓄積してきた。
〇倫理的な意思決定を行うためのステップを明確に認識していることは、技術者としての道徳的自律性を保持し、よりよい解決策を見いだすためには重要である。同時に
、非倫理的な行動を取るという過ちを避けるために、倫理的意思決定を妨げる要因について理解を深め、人はそのような倫理の落とし穴に陥りやすいという現実を自覚する必要がある。
〇功利主義:よい結果を生もうとするとき、そこから生み出される社会の公的な利益や福祉の総量を極力大きくしようとする考え方。最大多数の最大幸福との言い方がよく知られている。ジェレミ・ベンサムに代表される。
〇正義論:少数者や社会的弱者の権益を守る立場から、得られた報酬や富をどのように分配するのが公平なのかを考えた理論。ジョン・ロールズに代表される。
〇義務論:人は自己の好悪にかかわりなく、普遍的になすべきこと、またなすべからざることに従うべきとする考え方。イマニュエル・カントに代表される。
〇倫理的意思決定に関る促進要因と阻害要因の対比
| 促進要因 | 阻害要因 | |
| ① | 利他主義 | 利己主義 |
| ② | 希望・勇気 | 失望・おそれ |
| ③ | 正直・誠実 | 自己ぎまん |
| ④ | 知識・専門能力 | 無知 |
| ⑤ | 公共的志向 | 自己中心的志向 |
| ⑥ | 指示・命令に対する批判精神 | 指示・命令への無批判な受入れ |
| ⑦ | 自律的思考 | 依存的思考 |
倫理問題への対処法としての功利主義と個人尊重主義はときに対立することがある。
〇倫理問題への対処法としての「功利主義」とは、19世紀のイギリスの哲学者であるべンサムやミルらが主張した倫理学説で、「最大多数の最大幸福」を原理とする。倫理問題で選択肢がいくつかあるとき、そのどれが最大多数の最大幸福につながるかで優劣を判断する。しかしこの種の功利主義のもとでは、特定個人への不利益が生じたり、個人の権利が制限されたりすることがある。
〇一方「個人尊重主義」の立場からは、個々人の権利はできる限り尊重すべきである。功利主義においては、特定の個人に犠牲を強いることになった場合には、個人尊重主義と対立することになる。
〇功利主義のもとでの犠牲が個人にとって許容できるものかどうかその確認の方法として、「黄金律」テストがある。黄金律とは、「自分の望むことを人にせよ」あるいは「自分の望まないことを人にするな」という教えである。自分がされた場合には憤概するようなことを、他人にはしていないかチェックする「黄金律」テストの結果、自分としては損害を許容できないとの結論に達したならば、他の行動を考える倫理的必要性が高いとされる。
〇また、重要なのは、たとえ「黄金律」テストで自分でも許容できる範囲であると判断された場合でも、次のステップとして「相手の価値観においてはどうだろうか」と考えることである。
〇以上のように功利主義と個人尊重主義とでは対立しうるが、権利にもレベルがあり、生活を維持する権利は生活を改善する権利に優先する。この場合の生活の維持とは、盗まれない権利、だまされない権利などまでを含むものである。また、安全、健康に関する権利は最優先されなければならない。
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